トルコ商法376条における資本欠損・債務超過と取締役会の法的責任
トルコ商法(法律第6102号・TTK)第376条は、株式会社(A.Ş.)および有限会社(Ltd. Şti.)が経営赤字によって自己資本を著しく損耗した場合、取締役会に対して厳格かつ委任不可能な法的義務を課しています。資本金および法定準備金の1/2または2/3が欠損した場合、または資産が負債を弁済できなくなった場合(債務超過 / borca batıklık)、取締役会は直ちに株主総会を招集し法定の資本是正措置を講じなければなりません。これを怠った取締役はTTK第553条に基づき個人財産による損害賠償責任を負います。
1. トルコ商法第376条における資本欠損の3段階
トルコ商法は自己資本の毀損を3つの段階に分類しています:
| 欠損段階 | 法的基準 | 取締役会の義務 | 法的効果とリスク |
|---|---|---|---|
| 第1段階:1/2の資本欠損(376条1項) | 累積損失が資本金と法定準備金の合計額の50%以上。 | 直ちに株主総会を招集し、コスト削減等の改善措置を提示。 | 情報開示義務であり、株主総会での増資決議は義務付けられていません。 |
| 第2段階:2/3の資本欠損(376条2項) | 累積損失が資本金と法定準備金の合計額の66.6%以上。 | 株主総会を招集し、(1)減資、(2)資本補填、(3)減増資のいずれかを決議。 | 決議が成立しない場合、会社は法律上当然に解散します。 |
| 第3段階:債務超過(376条3項) | 会社の全資産をもってしても全負債を弁済できない状態。 | 中間貸借対照表を作成し、商事裁判所に破産申立てまたはコンコルダートを申請。 | 怠慢は執行破産法345条aに基づく拘留刑および商法553条の個人賠償責任を招きます。 |
2. 2/3の資本欠損時に株主総会が選択すべき3つの措置
会社解散を回避するため、株主総会は次のいずれかを決議しなければなりません:
- 残余1/3の資本による存続(減資): 資本金を純資産額まで減額(非公開A.Ş.の最低資本金25万リラを下回らないこと)。
- 資本補填基金(Sermaye Tamamlama Fonu): 新株を発行せず株主が無償で資本準備金に資金を注入し欠損を填補(非課税扱い)。
- 同時の減資および増資: 欠損を減資で一掃した上で、直ちに新規資金を注入して増資を行う。
3. 為替差損の除外特例(暫定第1条)
為替変動による過度な資本欠損判定を防ぐため、貿易省通達に基づき、未決済の外貨建債務から生じた未実現為替差損および特定のリース・減価償却費の50%を資本欠損計算から除外することが認められています。
4. 商法第553条に基づく取締役の個人賠償責任
破産申立てを遅延させた取締役は、適時に破産していれば債権者が回収できた額と実際の回収額との差額損害(Fark Zararı)について個人資産で全額弁済する責任を負います。
よくあるご質問
資本補填基金(Sermaye Tamamlama Fonu)は株主に返還できますか?
返還できません。これは純粋な自己資本への無償拠出であり、株主ローンではないため清算時または正規の減資時以外は返還不可です。
商法376条は有限会社(Ltd. Şti.)にも適用されますか?
はい。商法第610条の準用規定により、有限会社およびその業務執行者(マネージャー)にも完全に適用されます。
コンコルダート(民事再生手続)の申立ては破産義務を満たしますか?
はい。直接の破産申立てに代えて執行破産法285条のコンコルダートを申し立てることで、裁判所の保護期間中は破産宣告が停止されます。
為替差損の除外特例はどのように計算しますか?
未払いの外貨建債務に係る帳簿上の為替差損額を累積赤字から控除した上で、資本欠損比率を算出します。
債務超過発生後に取締役を辞任すれば責任を免れますか?
免れません。在任中に発生した義務違反および裁判所への通知遅延による損害について、辞任後も個人責任が存続します。